“聖火に思いを寄せて”(3)宮城 石巻市

こころのレガシー 1964→2020 vol.2-3
2017年10月1日
レガシー:聖火台の様子

東京大会が開かれた1964年は、カラーテレビが一般家庭に普及し始めた時代だった。聖火ランナーが掲げるトーチの先端から吹き出すオレンジ色の炎とランナーの後方にたなびく真っ白い煙は、カラーテレビを通じて、日本人の記憶に鮮烈に焼きつけられた。

52年前、人々が戦後復興への願いを託した国立競技場の聖火台は、いま東日本大震災の被災地・宮城県石巻市に設置されている。2016年8月、震災復興の願いを込めて聖火台に炎が灯された。子どもたちが期待に胸を膨らませて見守る中、聖火台に点火された炎は夜空を真っ赤に染めた…。炎が赤いのはあたりまえのようだが、この赤い炎を出すのにも苦労があった。

東北大学大学院農学研究科と被災3県のこどもたちが共同で進めてきたバイオメタンガスをつかった聖火台の炎つくりは家庭から出る生ごみをかくはんさせるところから始まる。常温で数週間寝かした生ごみからは可燃性のガスができる。ところがこのガス。そのまま火をつけると青い炎しか出ないのだ。

この難題を東北大学の多田千佳准教授は思いもよらないものを使って解決した。それは三陸海岸の名産物、牡蠣の殻。牡蠣殻を細かく砕いて炎に混ぜたところ、青い炎は赤くなった。さらに塩を混ぜることでその赤味はさらに増し、夜空を真っ赤に染めたのだった。こどもたちの瞳に映った真っ赤な炎は復興への誓いと2020年東京オリンピックへの期待にあふれていた。

(撮影・文)報道局映像取材部 カメラマン新井田利之

横型動画は、「サンデースポーツ2020」で放送されたVTRを再編集したものです。
[総合]日曜日午後9時50分~(放送時刻変更の場合があります)

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