陸上 誰よりも「より速く、より高く、より強く」に挑む

— 競技ガイド —

陸上

7月31日(金)~8月8日(土)
皇居外苑 国立競技場(オリンピックスタジアム)

リオ大会で開催された47種目に新たに混合1600mリレーが加わり、全48種目が行われる陸上。100mに代表される、100分の1秒を競うトラック。自分と向き合い、限界に挑むフィールド。大会の花形であるマラソンと最も過酷な陸上競技と言われる競歩からなるロード。この3つに大きく分かれ、選手はオリンピックの精神でもある「より速く、より高く、より強く」を目指して試合に臨む。

人類最速は誰だ? 100分の1秒を競う戦い ”トラック”

短・中・長距離走、障害、ハードル、リレーの計25種目が行われ、決められた距離を誰がいちばん早く駆け抜けるか?それだけを極限まで競う種目がトラック。わかりやすい競技だからこそ、100分の1秒を競って走り抜ける選手の姿に、誰もが夢中になるはずだ。

【短・中・長距離走の見どころ】1秒に進む距離は最大12メートル!!

・瞬発力だけじゃない!シンプルゆえの奥深さ
・男子100mの最高時速は40キロ以上!

シンプルだが、奥が深く見どころが多い短・中・長距離走。距離が長くなるほど、速さだけでなく選手同士の駆け引きが重要になるが、数ある種目のなかでも最も注目を集めるのが男子100m。オリンピック記録、そして世界記録が塗り替えられる瞬間を目にしようと、世界中が見つめる特別なレースだ。トップスピードは時速40キロ~45キロ近くにも達し、市街地を走る車なみ!勝利を手にするには「速く走る」能力が不可欠だが、スタートのテクニック、一瞬の集中力など、アスリートとしてさまざまな能力を試される舞台でもある。現在、男子100mのオリンピック記録は9秒63、世界記録は9秒58でともにウサイン・ボルト選手が記録したもので、記録を塗り替えることができるかに注目が集まる。

【リレーの見どころ】勝利の鍵はバトンパス!

・新種目の混合1600mリレーは波乱の予感!
・速いだけでは勝てない!勝負のカギはバトンパス

各国のトップスプリンター4人が出場するリレーは、国が威信をかける戦い。選手の持ちタイムの合計がそのまま順位にならないのがリレーの面白いところで、どれだけスピードを落とさずにバトンをつなげるかがポイントだ。男女2人ずつがチームを組む、新種目の混合1600mリレーは各国の戦略に注目したい。男女の走る順番は自由に決められるので、先行逃げ切り型でいくのか、それとも追い込み型か。アンカーの大逆転劇など、予想外の展開を見られるかもしれない。初代金メダルに輝くのは果たして?

【マメ知識】バトンパスは日本のお家芸

これまで日本がトラックで獲得したメダルは3つ。とくにリオ大会の男子400mリレーでの銀メダルは大きな話題を呼んだ。4個目のメダル獲得にも期待がかかる。

【種目・開催日程】

7月31日(金)~8月8日(土)
国立競技場

男子100m/女子100m
男子200m/女子200m
男子400m/女子400m
男子800m/女子800m
男子1500m/女子1500m
男子5000m/女子5000m
男子10000m/女子10000m
男子110mハードル
女子100mハードル
男子400mハードル/女子400mハードル
男子3000m障害/女子3000m障害
男子400mリレー/女子400mリレー
男子1600mリレー/女子1600mリレー
混合1600mリレー

限界に挑む姿に一喜一憂 ”フィールド”

陸上のフィールド競技は、16種目からなり、大きく「跳躍」と「投てき」に分けられる。いずれの種目も選手が1人ずつ試技を行うのが特徴で、長年積み重ねてきた練習の成果を凝縮して、自らの限界を超えていくさまはまさにアスリート!自分と向き合い、記録に挑戦する選手に声援を送りながら、ぜひ一緒に一喜一憂したい。

【跳躍の見どころ】

・棒高跳びはキリンを跳び越えるジャンプ力
・自動車5台を軽々超える走り幅跳び

跳躍は走り高跳び、棒高跳び、走り幅跳び、三段跳びの男女計8種目で、2種類に分けられる。高さを競うか、距離を競うかだ。例えば男子の棒高跳びの世界記録は6メートルを超すが、そのジャンプはキリンを飛び越えるほど!いくら棒を使うとはいえ、誰もが一度は見上げたことのあるキリンを、重力に反して跳び越えていく姿は”鳥人“と呼ぶにふさわしい。一方で、距離を競う走り幅跳びも驚異的だ。助走後のわずか1歩で跳ぶ距離は、男子で8メートル以上、女子で7メートル以上と、横並びの自動車4~5台分。しかし、それほど人間離れしたジャンプ力で競いながらも、最後はわずか数センチの差で勝負が決まる点も見どころ。

【投てきの見どころ】雄叫びは効果あり。

・“1センチでも遠くへ投げた”選手が勝つ
・観客を圧倒する雄たけび

投てきは、「砲丸投げ」「円盤投げ」「ハンマー投げ」「やり投げ」の男女8種目。投げる物が違うが勝利の条件はただ1つ、1センチでもより遠くへ投げること。そのために選手の多くは投げた瞬間に雄たけびをあげ、スタジアム中に響く声に観客も圧倒される。この声を「シャウト効果」と呼んで、無言で投げるよりも距離を伸ばせるとする研究もあるという。なかでも2リットルのペットボトル約5本分、7.26キロもある鉄球を80メートル以上も放り投げる男子のハンマー投げは、投てき4種目のなかでも雄たけびが大きく迫力満点。

【マメ知識】ペットボトル約5本分の重さを投げる

「円盤投げ」「ハンマー投げ」「砲丸投げ」「やり投げ」からなる陸上の投てき。用具の重さは、ハンマーと砲丸がいちばん重く、7.26キロ(女子4キロ)。2リットルのペットボトル約5本分の重さをハンマー投げで80メートル以上、砲丸投げで20メートル以上も飛ばしていることになる。

【種目・開催日程】

7月31日(金)~8月8日(土)
国立競技場

<跳躍>

男子走り高跳び/女子走り高跳び
男子棒高跳び/女子棒高跳び
男子走り幅跳び/女子走り幅跳び
男子三段跳び/女子三段跳び

<投てき>

男子砲丸投げ/女子砲丸投げ
男子円盤投げ/女子円盤投げ
男子ハンマー投げ/女子ハンマー投げ
男子やり投げ/女子やり投げ

札幌を舞台に繰り広げられるドラマ

ロードは、第1回のアテネ大会以降続いてきた歴史あるマラソンと、1908年のロンドン大会から正式種目に採用された競歩からなる計5種目。
東京大会のマラソンは当初、浅草・銀座・東京タワーなど、東京の名所をめぐるコースが設定されていたが、開催まで9か月を切った2019年11月になって、競歩とともに、会場を札幌に変更することが決まった。
東京での観戦を楽しみにしていた人にとっては残念な決定だったが、「アスリートファースト」の理念を尊重し、選手にはより涼しい札幌でのレースで、最高のパフォーマンスを期待したい。

【マラソンの見どころ】札幌に会場変更

・札幌への会場変更がどう影響?
・走る速さは時速20キロ!

マラソンは、気温や湿度がレースの行方を大きく左右する。猛暑の東京を想定して対策を進めてきた選手や指導者は、札幌への会場変更で、戦略の見直しを迫られることになった。涼しい札幌への会場変更は、レース展開にも影響しそうだ。
マラソンの中継で映し出される選手は、淡々とゴールを目指しているように見えるが、実はそうではない。ライバルの息遣いを観察しながら、地形や路面状況に応じて勝負を仕掛けるポイントを探っているのだ。水面下で駆け引きが行われ、持久力に優るだけでは勝てないのがマラソンだ。男子マラソンの平均ラップタイムは、5キロ15分~15分50秒、時速約20キロにも達するが、有力選手が勝負を仕掛けるときは、5キロを14分30秒前後にスパートする。こうしたギアチェンジの瞬間がマラソンの見どころだ。

【競歩の見どころ】競歩は厳しいフォーム制限!

・最も過酷な陸上競技
・厳しいフォームの制限

競歩も、マラソンと同じように、気温や湿度がレースの行方を大きく左右する。涼しい札幌への会場変更が、好結果につながることが期待される。
長時間を全力で“歩く”ことから、「最も過酷な陸上競技」と呼ばれることもある競歩。だが“歩く”とはいっても、選手たちのスピードは一般の人が思い浮かべる「早歩き」とはまったく別モノ。時速は16キロにもなる。また、レースでは9人の審判員がフォームをチェック。厳しいルールのなかでギリギリの勝負を繰り広げるため、トップ選手が参加する世界大会でも約10パーセントの選手が完歩できないという。

【マメ知識】膝が曲がってもダメ!両足が浮いてもだめ!

競歩と言えば独特なフォーム。重要なポイントは、常に片足のどちらかが地面についていることと、足が地面と垂直になる前に膝が曲がっていないことの2つ。違反があると審判が「イエローパドル」と呼ばれる黄色い札を出して警告。改善されない場合はレッドカードが示され、異なる審判から3枚出されると失格になる。

【種目・開催日程】

札幌

男子20km競歩/女子20km競歩
男子50km競歩
男子マラソン/女子マラソン

“キング・オブ・アスリート”を決める戦い ”混成”

短・中・長距離、跳躍、投てき。陸上競技のすべての要素に1人で挑むのが、男子10種競技と女子7種競技の混成。男子は10種目、女子は7種目もの競技を2日間連続でこなすため、単一種目以上の体力と集中力が必要になるのはもちろん、メダル獲得にはより多くの種目で好成績をおさめる必要がある。最終順位は各種目の成績を得点に換算し決定する。

【混成の見どころ】

・「走る」「跳ぶ」「投げる」。陸上のすべての要素を凝縮
・体力・技術・集中力に加えて、戦略も重要

陸上競技に求められる「走る」「跳ぶ」「投げる」。これらすべての要素を高いレベルで備えたアスリートを決めるのが混成。男子10種競技の勝者は「キング・オブ・アスリート」、女子7種競技の勝者は「クイーン・オブ・アスリート」と称される戦いは、まさに“オールラウンダー”を決める種目と言える。しかし、その道のりは極めて困難だ。種目によって必要な筋肉や技術、トレーニング方法は異なり、すべての種目を高いレベルでこなすには並外れた練習量が必要になる。さらに男子は100m、女子は100mハードルをから始まって、2日間ですべての種目をこなす過酷な日程のため、不得意な種目ではあえて“抑えて”体力を温存し、得意種目に全力を注ぐなどの戦略も重要になる。

【マメ知識】7種 10種

2日間ですべての種目をこなす、ハードスケジュールの混成。男子は、初日に100m、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m。2日目に110mハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1500mの順に挑む。一方、女子は初日に100mハードル、走り高跳び、砲丸投げ、200m。2日目に走り幅跳び、やり投げ、800mの順となる。

【種目・開催日程】

8月5日(水)~8月6日(木)
国立競技場

男子10種競技
女子7種競技