パラスポーツ×お笑い 千鳥さんから感じた“ニューノーマル”

2020年9月9日
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千鳥・大悟さんが、視覚障害クラスの競泳のタッピングに挑戦。泳ぎも丁寧に再現し、笑いに変えるあたりにカメラがぶれてしまうぐらい笑ってしまいました。ちなみに、左で大悟さんにタップをするのは、日本代表の名タッパーである寺西真人さん

2013年、東京パラリンピック開催が決まってから、テレビや新聞などメディア露出が多くなった「パラリンピック」。以前は、障害者が頑張っているという取り上げられ方が多かったパラリンピックですが、近年では、「競技」「人物ドキュメンタリー」「アスリートの特殊能力」「ファッション」「ダイバシティー&インクルーシブ」等々、取り上げ方のバリエーションが増えてきました。


1年延期になった東京パラリンピック。いまこそ、パラリンピックの伝え方をもっと探りたい。そんな中、今回、注目したのは「お笑い」。

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山口尚秀選手(左)の「お辞儀」エピソードを知って、一瞬で真似してくれた千鳥・大悟さん


多種多様な考え方がある世の中で、お笑いは“人と人をつなぐ強い力”があります。知らない世界と世界をあっという間につなぐ、まるでドラえもんに出てくる、“どこでもドア”のようです。障害について、なかなか触れてはいけないと思われることでも、お笑いだとスッと入るように感じます。


去年4月から20回を超えて放送してきた番組「パラ×ドキッ!(BS1)」。この番組は、MCの千鳥さんが、ゲストのパラアスリートとやり取りしながら、お笑いを通して、楽しくパラスポーツを伝えるバラエティ番組です。パラアスリートについて、どのように感じて伝えているのかを、千鳥のお二人に聞いてみました。

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車いすテニスの大谷桃子選手と、元プロテニスプレーヤーの杉山愛さんとの“ガチンコ対決”の行方は?!フリートークの成り行きに爆笑する千鳥・ノブさん


Q:これまでの番組で印象に残っていることを教えてください

ノブさん「『健常者の方が体の動きが優れているし、そういうハンデの中で戦っていくスポーツなんだろうな』と思っていたのですが、究極ハンデを抱えながらも、使っている部分がすごい発達していて、健常者よりすごい動きが出来たり、強く優れている部分がたくさんあって、『すごいな人間は』と思いました」

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シッティングバレーボールの体験をする大悟さん。何をやっても面白く、笑いに変換させるあたりは流石の一流お笑い芸人!


Q:パラアスリートですごいと思ったことを教えてください

大悟さん「みんな印象的ですけど、みなさん共通しているのが、切り替えの早さです。けがをされて入院している病院から大会へ出たという選手とか。普通なら落ち込んで当然だと思いますが、次にやることを見つける切り替えの早さとパワーがすごいなあと思います」

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パラ陸上・投てき種目でおなじみ?!の、“こんぼう”をちょんまげのようにみせて前振りを行う大悟さん(右)


Q:パラアスリートに会って想像と違ったことはありますか?

ノブさん「何らかの事故や病気でいろんなことがあって苦労をすごいされているにも関わらず、出演された方は、みなさんもれなく明るくてお話も面白いし、話しやすかったです。
パラスポーツを扱う番組なのでもっと固い雰囲気になるのかなと思っていましたが、途中、そういう番組だとわからなくなるぐらい、楽しく明るくしゃべってくれるのでうれしかったです。

あと意外だったのは、もっと国からパラアスリート達にお金が出ていると思っていました。資金獲得のために、自力でスポンサーを集めたり、バイトして遠征費稼いだり、本当に偉いなあと思います。ぼくらで言うと、漫才する場を自分で見つけてくるみたいなもんですよね。それは到底できないなと思いました」

大悟さん「子どものころから思っていたのは、足が無いとか腕が無いとか、そういう人は見られるのや表に出るのが嫌なんだろうと思ってました。でも、パラアスリートの方は、僕らに対して、ここから足が細くなっているとか、ここから腕がないんですというところを、全然、僕らが腕を見せるように見せるし、足を見せるように見せるんです。
『あっ。そういうのは、こっちが勝手に思っているだけなんだなー』とびっくりしました」


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番組収録時、副調整室の様子。感染防止策をとりながら、いろいろな役割のスタッフたちが番組を作り上げていきます


Q:番組をさらに面白くなるのは?やってみたいことは?

ノブさん「お笑いとパラスポーツの相性はいいと思います。番組ではアスリートと競技の話が中心でしたが、むしろ全然違う競技とかを芸人とやってみたり、芸人がよくやるゲームをパラアスリートが一緒にやってみたりするのも面白いんじゃないかと思いました。パラアスリートの普段の生活も関心を覚えるので、普通の買い物を芸人と一緒に行くのも新鮮だと思います」

大悟さん「芸人が芸人としゃべる時とか、ロケ中に一般の方としゃべる時とかに、これ言っちゃあダメとかのルールがあり、そのルールさえあればいいのかなーぐらいに番組の前までは思っていました。でも、番組ではアスリートの方から、どんどん『僕それ腕がないから出来ないですよ』とか笑いにしてくるので、こっちが気を遣っていても面白くはならないんだ、なるほど、それはそうかと思いました」

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収録終了後、第23回目の番組ゲストの大谷桃子選手・車いすテニス(右から3番目)を交えての記念撮影


大悟さんの「気を遣っても面白くならない」という言葉が心に残りましたが、確かに言ってはいけないルールは、あると思います。しかし、それらは、国や地域や個人、時代によっても異なってくるとても難しいルールです。


千鳥さんが、これまでのパラアスリートたちとの番組での交流を通して感じ取ったことで、お二人なりの遠慮とルールの感覚をどんどん身につけられて、“お笑い”という切り口のエネルギーがパワーアップしているように思います。
お二人の経験が、番組を通して視聴者に伝わることにより、パラスポーツの新しい一面を見せていくのではないかと思えます。来年の東京パラリンピックに向けて「パラスポーツ×笑い」の進化にも注目です!!!

千鳥さんがパラアスリートに迫る『パラ×ドキッ!』今後の放送予定

2020年9月13日(日) 午後5時[BS1]

「千鳥が迫る“お尻が全て”シッティングバレーボールの魅力」

パラリンピック独自の競技「シッティングバレーボール」を特集。初の金メダルを目指す女子代表は、スピードとテクニックで世界の壁に挑戦中。競技の魅力・奥深さを伝える。
【ゲスト】シッティングバレー全日本女子監督…真野嘉久,【出演】益子直美,【司会】千鳥,【司会】保里小百合,【声】ケンドーコバヤシ


2020年9月20日(日) 午後5時[BS1]

「車いすテニスの新星・大谷桃子 レジェンドとガチ対決!」

車いすテニス強国・日本に現れた新星・大谷桃子選手(25)が登場。恒例、一流アスリートとの真剣勝負では、杉山愛さんとのマッチアップが実現!前代未聞の対決の行方は? 
【ゲスト】大谷桃子,杉山愛,【司会】千鳥,保里小百合,【リポーター】しずる,【声】大江戸よし々

写真家 越智貴雄

写真家 越智貴雄(おち・たかお)

2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2012年、陸上アスリートの競技資金集めの為、セミヌードカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年、義足を美しくかっこよく履きこなす女性たちを撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。2017年、寝たきりのお笑い芸人“あそどっぐ”さんの写真集「あそどっぐの寝た集」を出版。取材活動の他にも写真展開催や義足女性によるファッションショーなど、多数開催している。NHK-BS1「パラ×ドキ」に出演中。

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