東京パラへ続く「道」 後編 ~車いすマラソンの見どころは、この「坂」だ!

陸上 2021年3月29日
写真:坂を指さす花岡氏

今回は、東京パラリンピックの車いすマラソンコースの見どころをご紹介します。

教えてくれるのは、日本パラ陸上競技連盟副理事長で、2012年のロンドンパラリンピック車いすマラソン5位入賞の花岡伸和氏。沿道で撮影したこの一枚、「坂」だけではなく、実際の競技用車いすも写真に含めるとよりイメージが湧きやすいと思い、花岡氏にご用意いただきました。2012年の引退後、はじめて見たレーサーに座る懐かしいお姿に興奮です。

実際の車いすマラソンコースに行って解説していただきました。

写真:朝日を浴びる坂

東京パラリンピックのマラソンは、大会最終日の9月5日の日曜日、朝6時30分にスタートします。

このコースで、特に重要な場所になりそうなのは、往路復路ともに、スタートの新国立競技場から5キロあたりの市ヶ谷付近までの「坂」です。往路は「下り坂」、復路では急勾配の「上り坂」になります。ここ以外に大きな高低差はありません。

その「坂」でも特に注目されるのは、合羽坂下交差点から市ヶ谷駅にかけての急勾配の坂。
往路で、ここを集団の状態で下ってしまえば、復路の上り坂までほとんど平坦なので、そのままの集団が形成される可能性が高くなります。

そうなると、復路の「上り坂」が勝敗を分ける大きなポイントになります。その上り坂で、フィジカルが強い欧米勢の選手が仕掛けた場合、圧倒的に彼らが有利な展開となり、そこで勝敗がつくかもしれません。

写真:坂を指さす花岡氏

往路の下り坂で、もし思い切って飛び出す選手がいれば、そこで勝負が決まってしまうという流れも考えられます。

当日の天気にも左右されますが、晴れた場合は、往路の下り坂は選手たちが通過する朝6時40 分~45分ころは逆光の時間となるので、それを利用して一瞬の隙を見つけて下り坂で飛び出し、勝負をかけてくる選手がいればそこが勝負のポイントになる可能性もあります。

下ったあとに、後方選手との間に500メートルの差をつけられれば、その後のレースをとても有利に進められます。車いすマラソンの500メートルというのは、時間にして約2分ですが、前を走る選手が見えなくなり、後方の選手の“心が折れてしまう距離”となるのです。


パラリンピックの最終日に開催されるマラソン競技。男子車いすマラソン選手の場合、レース序盤の下り坂は1時間10分~15分あたりになる予想です。そこで思い切って誰がどう仕掛けてくるのか、はたまたレース終盤の上り坂でフィジカルが強い欧米勢が仕掛けてきた時に日本勢がどれだけ食らいついていけるのか。

この「坂」でどんなレース展開が繰り広げられるのかとても楽しみです。


【関連コラム】東京パラへ続く「道」 前編 ~車いすレーサーが滑走路を疾走!(2021/3/18)

写真家 越智貴雄

写真家 越智貴雄(おち・たかお)

2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2012年、パラ陸上アスリートの競技資金集めの為、セミヌードカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年、義足を美しくかっこよく履きこなす女性たちを撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。2017年、寝たきりのお笑い芸人“あそどっぐ”さんの写真集「あそどっぐの寝た集」を出版。取材活動の他にも写真展開催や義足女性によるファッションショーなど、多数開催している。

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