車いすラグビーの“ラグ車”、使い込んでいざ本番!

車いすラグビー 2019年8月6日
写真:車いすラグビー日本代表

去年の世界選手権で、日本が金メダルをとってから、すっかり、車いすラグビーの魅力にハマってしまいました。基本的なルールこそ、知っていたのですが、見る試合を重ねるうちに、見方も楽しみ方も増えてきました。

その中でも、今回注目したいのは、通称『ラグ車』(ラグビーの車いす)と呼ばれる“専用車いす”です。競技の激しさに耐え得る設計がなされ、『攻撃用の車いす』と『守備用の車いす』に大きく分けられます。素材はアルミニウム製やチタン製。なんと、ぶつかり合う時には、火花が出るとも言われています。そんなラグ車のトリビアを写真とともにご紹介します。

◆金額は150万?!

写真:タックルで浮くラグ車
写真:屈強なオーストラリア選手に囲まれる、日本代表の島川慎一

この車いす、実は高いんです。車いすと、車輪の部分であるホイールと合わせると、安くても130万、高いと200万円を超えるものもあります。またパンクなどで競技中にホイールの交換が必要になると予備も必要です。ホイールは1本で10万近くします。こだわればこだわるほど、金額がどんどん膨れ上がることになります。車、買えちゃえますね。



◆ラグ車は、どこで作られている?!

写真:傷だらけのラグ車

日本ではニュージーランドとアメリカのメーカーの車いすを使っている選手が多く、他にはドイツのメーカーなどもあります。関係者によると、昔は日本でも作られていたのですが、需要が少ないことや、この3国が硬い頑丈な金属の加工を得意としていることで今では作られていないそうです。



◆攻撃用車いす(オフェンス車)

写真:落ちたボールを追いかけて激突する島川とカナダ選手

車いすラガーマンの中でも、比較的、障害の軽い選手が使用。アルミ製でできていて、とにかく頑丈。重さはなんと20kgにもなります。



◆防御用車いす(ディフェンス車)

写真:ラグ車のバンパー

車いすラガーマンの中でも、比較的、障害の重い選手が使用。相手のルートを封じ込めたり止めたりする為に前部にバンパーが取り付けられ、全長が長くなっているのが特徴。チタン製のフレームが多く、頑丈さはそのままに軽量化が図られています。障害の重い選手にとって、動き出しのスピードをより速くする為に軽さは重要なのです。



◆ラグ車の耐用年数は?!

写真:ボロボロのホイールのラグ車
写真:追突を受け、転げ落ちそうになっている橋本勝也

ラグ車は、半年使ってようやく選手の動きに馴染むと言われていますが、強い衝撃が加わる為に耐用年数は1年から1年半程度。パラリンピックなどの大きな大会の前には新車を購入する選手も多く、今からの時期は、東京パラリンピックにあわせて生産もピーク?!



◆ホイールとタイヤも頑丈仕様?!

写真:ボロボロのホイールの上に添えられた手
写真:ホイールカバーが赤と黒のラグ車のタイヤ。プラスチックの質感で、ピカピカ光る

もちろん、頑丈仕様です。
スポーク(車輪の中心から放射状に伸びている棒状の部品)が折れないように、外側には車のバンパーなどにも使われる強化プラスチック製のホイールカバーがつけられていますが、衝撃のため、数回の使用でホイールカバーは大きな凹凸ができてしまいます。
タイヤのチューブの空気圧は、かなり高い設定でパンパンに入っています。試合を見ていると、時折、大きな“パンッ!”や“プシュッ!”とした音に驚かされることがありますが、これはパンクした時の音です。選手によっては1本1万円するチューブレスタイヤを使っている選手もいます。



◆試合中は、ラグ車のメンテナンスで大忙し?!

写真:タイヤを持って走るスタッフ
写真:タイヤを交換するスタッフ
写真:タイヤに空気を入れるスタッフ

車いすの整備を一手に担うのが、メカニックさん。試合中にパンクが頻発すると、メカニックさんに加えスタッフさんも大忙し。タイヤが無くなると競技に出られなくなっちゃうので、試合中はいつも大忙しだ。



みなさん、いかがでしたでしょうか?車いすに注目して、試合を見るのも一つの楽しみ方かもしれません。ラグビーW杯2019の予選ラウンドと決勝ラウンドの間には、東京体育館で「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」が開催され、世界ランキングの上位から8か国が参加します。2020年のパラリンピックを前に、世界のごっつい“ラグ車”を楽しむのはいかが?!

◆車いすラグビーワールドチャレンジ2019

開催期間:2019年10月16日(水)~10月20日(日)
開催会場:東京体育館
参加国:日本を含む世界ランキング上位8か国
オーストラリア、アメリカ、日本、カナダ、イギリス、フランス、ニュージーランド、ブラジル


写真家 越智貴雄

写真家 越智貴雄(おち・たかお)

2000年のシドニーパラリンピックから国内外のパラスポーツの撮影取材活動を続けている。2012年、陸上アスリートの競技資金集めの為、セミヌードカレンダーを1万部出版し国内外で話題となる。2013年9月のブエノスアイレスでの2020東京オリンピック・パラリンピック招致最終プレゼンテーションで映し出された「跳躍の写真」が話題になる。2014年、義足を美しくかっこよく履きこなす女性たちを撮影した写真集「切断ヴィーナス」を出版。2017年、寝たきりのお笑い芸人“あそどっぐ”さんの写真集「あそどっぐの寝た集」を出版。取材活動の他にも写真展開催や義足女性によるファッションショーなど、多数開催している。NHK-BS1「パラ×ドキ」に出演中。

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