失意からつかんだ初メダル パラ競泳 辻内彩野

競泳 2019年9月13日
辻内彩野

東京パラリンピックの出場をかけて連日、熱戦が続くパラ競泳の世界選手権、日本女子で最初のメダルは、女子100m平泳ぎの視覚障害のクラスの銅メダルです。獲得したのは2年前にパラ競泳に転向したばかりの辻内彩野選手。前日の失意の中から立ち上がり、つかみとったメダルでした。

【日本女子、期待の若手】
22歳の辻内選手は小学3年生で水泳を始め、高校では全国大会にも出場した実力者でした。しかし、大学1年のときに視力低下や視野の異常を生じる進行性の難病、「黄斑ジストロフィー」と診断され、パラ競泳はまだ本格的に取り組みだして2年目です。それでも2018年のアジアパラ大会では4つの銅メダルを獲得するなど実力をっけ、初出場となった今回の世界選手権でメダルの期待がかかる日本女子の若手ホープです。

【まさかの失速】

写真:ゴール後、悔しそうな表情を見せる辻内彩野

そんな辻内選手がメダルを目指し、自信を持って臨んだ種目が100m自由形でした。ところが、大会3日目に行われた決勝、辻内選手は残り20mの勝負どころでスタミナが切れて大きく失速、後半の粘りを発揮できないまま4位とメダルを逃しました。レース後に涙を見せてくやしがった辻内選手は、この負けを翌日まで引きずります。次の女子100m平泳ぎ予選ではスタミナを温存しすぎて余力が残った状態でフィニッシュ。目標とするタイムに届きませんでした。

【金メダリストの助言】
決勝が迫ったその日の夕方、ひとりで膝を抱えて泣くほど悩んだという辻内選手がアドバイスを求めたのは、前日に男子100m平泳ぎで日本チーム最初の金メダルを獲得した山口尚秀選手でした。「どうやったら早く泳げるのか」とたずねた辻内選手に、山口選手は「フラットな姿勢が大事だ」とアドバイスをくれたと言います。辻内選手はこのひと言に思い当たる節がありました。大会直前の強化合宿で腹や腰を持ち上げてできるだけ"フラットな姿勢"にして水の抵抗を減らす練習に取り組んできました。しかし、予選では腰が沈む姿勢になり、水の抵抗を感じる泳ぎになっていたことに気づかされたのです。

【メダルで得た手応え】
迎えた決勝。辻内選手は腰をしっかりと上げて姿勢を修正。水の抵抗を受けることなくスタミナも温存でき、後半の苦しい時間帯にも持ち味の粘りの泳ぎをみせました。結果は自己べストを更新する 1分19秒85の好タイムで3着。今大会、日本女子初めてのメダルでした。

写真:ミックスゾーンで飛び跳ねる辻内


レース後に結果を知ると飛び跳ねて喜びをあらわにした辻内選手は「きのうの悔しさをこの種目で晴らせたのが心から嬉しいです。本来とれるべき種目でとれなかったのが悔しくて、その悔しさをぶつけたメダル獲得なので100点満点かな」と笑顔で話しました。

写真

左:表彰式。2位のコリーン・ヤング選手(アメリカ)、中央:1位のレベッカ・レッドファーン選手(イギリス)、左:辻内

「この種目でメダルがとれたのはすごい自信につながる」と苦手な平泳ぎにも手応えをつかんだ様子の辻内選手。東京パラリンピックの出場を目指し、大会の後半戦、自由形や混合りレーに出場する辻内選手のさらなる躍進に期待したいと思います。

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