前向きに笑顔で楽しんで金 パラ競泳 東海林大

競泳 2019年9月15日
東海林大

「超気持ちいいです!」
かつての名言が飛び出したのは、パラ競泳の世界選手権、男子200m個人メドレー知的障害のクラスで世界新記録をマークして金メダルを獲得した東海林大選手のレース直後でした。3年前の悔しさから学んだ「前向きに笑顔で楽しむ」という言葉を胸に世界の舞台でついにつかんだ栄冠でした。

【知的障害のエース・東海林】
4歳の時に人とのコミュニケーションが苦手な自閉症と診断された東海林選手。高校1年から本格的に競泳を始めると、大きな推進力を生み出す水のキャッチを武器に次々と日本記録を更新。一気に日本トップクラスの選手となりました。

【悔やまれる3年前の記憶】
しかし、前回のリオデジャネイロパラリンピックの代表選考会。「代表入りは確実」と周囲の期待が高まる中、力を抜くことが苦手な東海林選手は重圧に耐えられず、力を出し切れずに代表入りを逃しました。東海林選手は当時を振り返り、「自分の人生がどうなるんだという気持ちだったし、もう水泳を辞めようかと思った」と話していました。

【前向きに笑顔で楽しむ】
そんな東海林選手の支えになってきた言葉があります。「前向きに笑顔で楽しんで」。相手やタイムのことを気にせず、楽しんで競泳に取り組もうと東海林選手が気づくことができる力強い言葉でした。さらに、うまくいったことだけを日々記録する「できたことノート」を作成。マイナス思考に陥ることを防ぐ、この取り組みで笑顔で過ごすことも増えたといいます。

東海林選手のノート
東海林選手の「できたことノート」


【重圧を感じた世界の舞台】

初出場となった世界選手権。大会初日の200m自由形では実力を発揮できず、予選落ち。重要な国際大会での経験がほとんどない東海林選手は、「世界の強豪のことを考えすぎて眠れなかった」と調子を上げることができませんでした。

【再び救ったあの言葉】
大会6日目に迎えた200m個人メドレー、世界ランキング1位で金メダルの期待がかかる中でも予選もタイムが伸びませんでした。そこでも東海林選手を救ったのはあの言葉でした。「前向きに笑顔で楽しんで」。コーチや監督などからの言葉に決勝までの間にはスキップをしたり、関節を動かしたりして、気分転換しました。

【前向きに笑顔で楽しんだ】
そして決勝の本番、前半のバタフライと背泳ぎでは4番手で折り返しますが、平泳ぎから「姿勢を崩さずにいけた」と徐々に差をつめ、最後の自由形で一気にトップに立ちました。会場の電光掲示板で世界新記録の金メダルを確認した東海林選手は大きな雄叫びを上げて、水面を強くたたいて、喜びをあらわにしました。

喜ぶ東海林選手


東海林選手は「超気持ちいい。全体的に思う存分、楽しんで、最後まで強い勇気を持ったレースができた。リオデジャネイロパラリンピックに出られなかった悔しさがあって一生懸命練習してきた。最後まで前向きなレースができて良かった」と話しました。

「前向きに笑顔で楽しむ」という言葉を胸に、栄冠をつかんだ東海林選手。来年の東京パラリンビックで再び東海林選手の「超気持ちいい」を聞くことを楽しみにしたいと思います。

ガッツポーズする東海林大
東海林選手が金メダルを獲得したレースの動画は画像をクリック

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