パラ競泳 急成長の世界と戦うすべは

競泳 2019年9月16日
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金メダルを手にする、20歳の東海林大(左)と、18歳の山口尚秀(右)

イギリスで行われたパラ競泳の世界選手権は7日間の日程を終え閉幕、日本は金メダル3個を含む合わせて14個のメダルを獲得しました。しかし、世界では若手選手が急速に台頭し、大きな差を見せつけられる場ともなりました。1年後に迫った東京パラリンピックに向けて急ピッチでの強化が求められることになります。

【初出場の2人が金メダル】
金メダルなら東京パラリンピックの代表に内定する世界選手権。日本勢は金メダル3個、銀メダル7個、銅メダル4個の合わせて14個のメダルを獲得しました。知的障害のクラスでは18歳の山口尚秀選手が100メートル平泳ぎで世界新記録20歳の東海林大選手も200メートル個人メドレーで世界記録で金メダルを獲得しました。初出場の2人の代表内定にベテラン勢も奮起し、日本のエースで全盲の木村敬一選手も得意の100メートルバタフライで大会新記録で優勝しました

【タイムはいいが…届かない金】
パラリンピック4大会連続出場の実力者、鈴木孝幸選手は出場した5つの種目すべてでメダルを獲得。このうち3種目では自己ベストを更新する会心の泳ぎを見せましたが、銀メダル4つ、銅メダル1つで金メダルには届きませんでした。日本代表の峰村史世監督は多くの選手がベストを更新しているのは評価できるとしながらも、「ねらっていたところで届かなかった種目もある」と金メダルが取りきれなかった反省を口にしました。

【海外は若手の台頭】

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S4男子200m自由形のレース。ロシアのロマン・ズダノフ選手(21)は2分53秒06の世界記録で優勝。鈴木選手は自己ベストを出したものの0.16秒差で敗れた


金メダル獲得に届かなかった要因は何か。多くの選手が口にしたのが、海外の若手選手の台頭です。日本代表14人の平均年齢がおよそ27歳だったのに比べ、日本選手の出場種目で金メダルを獲得した海外選手の平均年齢はおよそ23歳と4歳も若くなっています。32歳の鈴木選手が出場した200メートル自由形では鈴木選手自身も世界記録を2秒以上上回る会心の泳ぎを見せたものの、ロシアの21歳の若手選手がさらに世界記録を更新して優勝を果たしました
鈴木選手は「海外勢は若い選手が新たに出てきている。10歳以上離れた選手と戦わなければいけない大変さはある」と話しました。今大会のメダルランキングで最も多い22個の金メダルを獲得したイタリアは、特に若手の台頭が顕著でメダルの数を稼ぎました。イタリアチームの関係者は「10年ほどの長期間にわたった強化と育成が実を結んでいる」と話していました。

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イタリアの19歳のシモーネ・バルラーム選手は運動機能障害S9クラス。100m自由形を含む4つの種目で金メダルを手にした

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同じくイタリアの18歳のカルロッタ・ジッリ選手は視覚障害S13クラス。辻内彩野選手が出場した50m自由形で優勝、金4・銀1・銅1の成績を残した


【見えてきた世界の相関図】

一方、日本が得た収穫もあったといいます。それが「東京大会に向けて戦う海外各国の相関図がわかった」ことだと峰村監督は話します。若手の成長が著しいイタリアだけでなく、リオデジャネイロパラリンピックでは国家ぐるみのドーピング問題で選手団の参加が認められなかったロシアは今回、世界の舞台に帰ってきて金メダル18個とメダルランキング3位に躍り出ました。金メダル19個でメダルランキング2位のイギリスは2012年のロンドンパラリンピックで活躍する選手のあとを追うように若手選手も次々と好成績を残してきました。東京パラリンピックで日本が戦う国の現状を知ることができたというのです。

【“選択と集中”と“若手”】
世界の姿が見えてきた今、日本はどうやって勝つのか。峰村監督は「世界のトップを目指す以上、まずはメダルを狙える選手を強化したい」と世界で勝てる種目に“選択と集中”して強化を進めていく方針を示しました。もう一つ峰村監督が日本でも期待しているのが若手の奮起です。今月21日からは国内最大規模の大会、ジャパンパラ競泳も開催され、世界選手権に参加できなかった若手選手たちが多く出場します。世界トップクラスに迫れるようなタイムを出す若手が現れるか注目したいと話していました。

世界との差を痛感した日本が残り1年でどこまで世界に迫れるのか。ターゲットを絞った強化と若手の成長がカギを握ります。

【日本代表本大会の成績はこちら】

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