パラリンピック各競技団体に聞く「新型コロナウイルスの感染拡大を受けて」その4 (4/14)

2020年4月14日
写真:東京2020パラリンピック スローガン「超えろ、みんなで。」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日々状況が刻々と変わる中、選手の体調管理や合宿などの運営を計画する競技団体のみなさんは、どのようなことに困っているのでしょうか。
また、選手の練習で配慮していることはどのようなことなのでしょうか?
パラリンピック競技団体のみなさんに、アンケートをお願いしました。
この記事が第4弾になります。

※これらの回答は、「非常事態宣言」が出される前に返信していただいたもので、現在は状況が変わっている部分があります。練習やNTCの利用等、回答いただいた時点での状態とご理解ください。

日本パラバレーボール協会 (回答:代表理事)

1)競技団体の状況について
4月から月・約4回の週末合宿を行う予定でしたが12日までは中止としました。
それまでは出入り口を1つとしアルコール消毒・検温(37.5°以上は入館禁止)・外部の人は極力入館禁止・換気に気を付け実施。4月12日以降は考え中です。しかしながら、パラリンピック1年延期で現在拠点別NTC(姫路のナショナルトレーニングセンター)が8月までの利用可能でそれ以降は改修工事のため使用できず、練習場所に苦慮しています。

2)選手の状況について

練習ができないことが一番です。

3)新型コロナウイルスをめぐる状況について、「伝えたい」ことがありましたらお書きください

史上最悪のウイルス、世界が人間が今こそ一つになって打ち勝つしかないと思います。


日本ゴールボール協会 (回答:事務局長))

1)競技団体の状況について
合宿は中止しています。その為、現在はNTC(ナショナルトレーニングセンター)を利用して練習をする選手もあります。
不必要な人との接触を避け、手洗い、マスク、等をするようにしています。
基本的には、感染防止のため、各自で自宅練習となっています。


2)選手の状況について

視覚障がいがあるため、何かと手に触れて確認する事が多くあり、COVID‐19感染に恐怖感があると聞いています。
不必要な人との接触や不要不急な外出を避け、手洗い、マスク、等をするようにしています。
近隣のスポーツジムを利用している選手は、他に利用者が少ない時間帯にジムを利用して、トレーニングをしている方もいます。
選手同士でも連絡を取り合い、トレーニング等のモチベーションを保っています。


日本身体障害者アーチェリー連盟 (回答:副会長・事務局長)

1)競技団体の状況について
射場に行かないと実射練習を行うこと自体が困難という競技の性質上、(一部の射場を除き)選手の普段の練習場である公共施設の射場閉鎖・使用制限が、強化選手・その他一般選手さらには介助者等にダイレクトに影響しており、練習環境の低下はどうしようもなく厳しい状況です。
競技団体といたしましては、選手の皆さんの安全をまず第1に考え、強化選手の合宿・練習は7月末までは全て中止といたしました。
なお、練習は主にNTC(ナショナルトレーニングセンター)で行っており、これまでNTCの方針に従っておりましたが、現在、NTC利用も4月12日まで自粛させていただいております。
都内におきましても、障がい者専用のスポーツ施設である東京都障害者スポーツセンターアーチェリー場の修繕工事(~4月24日)も重なってしまい、練習機会の確保が課題となっております。

また、世界大会は言わずもがな、感染リスク軽減ため国内でも全国的なスポーツイベントのみならず、都道府県レベルでの大会でも中止や延期といった措置が講じられ、パラリンピックまでの実戦の機会も少なくなってきております。
一般選手にとっても、10月に開催予定の全国障害者スポーツ大会の都道府県予選会等、今後大きな影響を及ぼしそうです。

対策といたしましては、「施設と射場の方針に従う」「体調不良の場合は欠席」「検温、手洗い、うがい、アルコール消毒」等の徹底、公共交通機関での移動を減少させる等となっております。
もとより春~秋は屋外中心、なおかつ接触性の低い競技ではございますが、健康維持面においては障がい者ならではのリスクもございますゆえ、今後も細心の注意を払いたいと考えております。

2)選手の状況について

【練習や競技を続ける上での影響、苦労はどんなことがありますか?また、選手はどのような具体的な対策を講じていますか?】

選手については、練習会場の確保、練習機会の確保等大変苦慮されています。
多くの競技会が中止される中、遠方にまででかけて試合参加や練習を行うというように、これまで以上に時間も経費も必要になっております。
以下は選手からの聴き取りです。
・新型コロナウイルスの影響で練習しているアーチェリー場が次々に閉鎖になりました。
このような状況になる前までは、練習する場所がなくなってしまったので、何時間もかけ県外のアーチェリー場に練習に行っていました。
日帰りをする時もありますが、移動の時間がもったいないので泊まりがけで練習する日々でした。
・平日はNTC、土日は都内の射場で練習しておりましたが、都内の射場が4月12日まで閉鎖となっており、土日は自宅で近射や自宅でできる筋力トレーニングに変更しています。
また、NTCでの練習も電車移動のため、回数を減らし、車で行けるときは車で行くようにしています。

(注1:この聴き取りの後、NTCでの練習も4月12日まで取りやめとなりました)
(注2:4月14日現在、NTCが5月6日まで閉鎖となり、トレーニング環境がなくなりました)

【日常生活で影響を受けていることは?】

・自分が新型コロナウイルスに感染してしまうと競技どころではなくなるので、常にマスクをして消毒など気を使っています。
しかし、未だにマスクが品切れなので、マスクが無くて困っています。
また、日用品や食料を買いに行くにも、人が多い所や時間帯を避けるようになりました。
・特に大きな影響はありませんが、マスク不足や毎日ヘルパーさんに来てもらっていること等、感染への不安を感じています。

3)新型コロナウイルスをめぐる状況について、「伝えたい」ことがありましたらお書きください

皆様におかれましては、日頃より当連盟そして所属選手・スタッフの活動に対するご理解・ご協力・ご支援そしてご声援、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
そして医療関係の方々はじめ、この状況下においても私たちの社会生活を維持し支えてくださる方々に、心より感謝いたします。

大変困難な状況の中、連盟としてはまず、選手の心理的な負担を軽減したいと思っています。
現在内定している選手については、これを維持することにいたしました。(開催国枠の選考については、WA(世界アーチェリー連盟)の動向も注視しながら実施時期も含めて改めて検討する方向で進めます)
選手にとって、コンディションを維持することはもとより、確認する場もないことからネガティブな思考に傾いてしまうこともあるかもしれません。その時は、競技団体のスタッフも、1年後に選手の皆さんに最高のパフォーマンスを発揮してもらうために日々、努力していることを思いだしてほしいと思います。

ただ、パラリンピックに関しましては、メンタルの面で準備期間が延びた、まだ出来ていなかったことをやりきる時間ができた、さらに強くなれるチャンスができたなど、ポジティブにとらえている選手が多いことは、頼もしい限りです。

アーチェリーは個人競技ですが、広い意味ではチームとしての力が、いま問われているのだと考えます。
来年に向かって選手も連盟も粛々と準備を整えていくしかない状況の中、ともに笑顔でパラリンピックの舞台に立てるよう、そして、支え応援してくださる皆様に感謝の気持ちをお伝えすることができるよう、チームみんなで頑張っていきましょう。
協力し合い、困難を乗り切ってまいりましょう。

一日も早い終息を、心より祈っております。


日本知的障がい者陸上競技連盟 (回答:ディレクター)

1)競技団体の状況について
終息が見えないので、合宿等の計画は現状全て中止となっている。知的障がい陸上の選手らはJAAF(日本陸上競技連盟)のレースにも計画的に出場していくが、最短でも6月末までレースの自粛が続く見込みであり、短期的目標設定が難しい。


2)選手の状況について 
知的障がいであるので、精神面での不安定さが大きく競技に影響することが考えられる。また、中長期的な目標や見通しよりも、短期的な見通しを積み重ねていくことで精神的安定を得られる実態の選手が多く、モチベーションの維持に苦慮している選手や支援者が多いようである。地域差はあるが、競技場やトレーニング場封鎖の地域が多く、ロードでのトレーニングがメインになっている選手が多い。トラック練習ができないことの影響は大きい。一般就労や通所の選手らは、数名自宅待機命令が出ている企業の選手がいる他は、仕事自体に影響が出ている選手は少ないようである。(全て競技団体実施アンケートより)。


3)新型コロナウイルスをめぐる状況について、「伝えたい」ことがありましたらお書きください

障がい者健常者関わらず、この見通しの持てない状況に対して「漠然とした不安」を持っている方が多いと思います。知的障がいの選手達は、普段からその「漠然とした不安」を強く持つ方が多いように思います。
早く終息して、人々がスポーツを自由に楽しむことのできる状況になることを願うばかりです。


※回答いただいたアンケートを追加いたしました。(2020年4月24日)

全日本テコンドー協会 (回答:強化委員長)

1)競技団体の状況について
新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、4月に計画していた強化合宿は中止とせざるを得なくなりました。また、国際大会についても多くの大会の中止が決定しており、強化→実践で確認といった 計画が組み難くなっております。
感染防止策としては、三密を避けるよう、また手洗いうがいの徹底の指示をしています。このほか、チームミーティングも対面ではなくZOOM等のアプリを活用して行っております。練習維持については、現時点では自宅等でもできる練習メニューの提供、HPSC(ハイパフォーマンススポーツセンター)臨時特設サイトの情報提供等ですが、長期化の場合を想定して、アプリを活用した遠隔指導も検討しています。


2)選手の状況について 
選手達からの声としては、練習が十分にできないもどかしさに加えて、コロナ感染に対する不安が かなり大きいです。職場ではテレワーク、または出勤免除になっている選手がほとんどです。


3)新型コロナウイルスをめぐる状況について、「伝えたい」ことがありましたらお書きください

選手や指導者にとっては、練習が十分にできないことは非常に影響が大きいですが、新型コロナウイルスが蔓延し世界中が大変な中、そのような事を言っていられませんので、今は一日でも早く終息することを願うばかりです。また、このような状況下でもサポートして頂ける人がたくさんいる事に「感謝」の気持ちでいっぱいです。パラリンピック時に活躍することで、応援して頂いている皆さま方に恩返しをしたいです。


新型コロナウィルスの影響は刻一刻と変化してきていますが、引き続きパラアスリートや競技団体の皆さんが直面している状況をお伝えしていきたいと思います。


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※質問項目は以下です。
1)競技団体の状況について
競技団体として、合宿や練習、試合に参加する上の影響はどのようなことがありますか?また、感染防止や、練習を維持するために、どのような対策を講じていますか?

2)選手の状況について 
選手の皆さんから伝わってきている、練習や競技を続ける上での影響、苦労はどんなことがありますか?また、選手はどのような具体的な対策を講じていますか?
日常生活で、影響を受けていることはありますか?

3)新型コロナウイルスをめぐる状況について、「伝えたい」ことがありましたらお書きください

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