“全身全霊”の走りで急成長 パラ陸上・岸田悠弥

陸上 2021年2月16日
パラ陸上男子400m知的障害のクラスの岸田悠弥選手

パラ陸上男子400m知的障害のクラスの岸田悠弥選手(24)。小学5年生から陸上を続けてきた岸田選手は社会人になってから、日本記録を次々と更新するなど急成長をしている選手です。新型コロナウイルスの影響で一時は練習場所の確保にも苦労しましたが、地域の企業から場所を提供してもらうなどして、感染対策をとりながら練習を続けています。
持ち前の“全身全霊”で練習に励み、東京パラリンピックの出場を目指しています。

去年11月に開かれた、関東パラ陸上選手権大会の男子400m決勝。岸田選手は、最後の100mで驚異的な粘りを見せて自身の持つ日本記録を更新、50秒29で優勝しました。岸田選手は、この3年間で自己ベストを4秒近く縮めるなど、一気に注目を集める選手になっています。

関東パラ陸上選手権大会

岸田選手:「50秒をきることを目標にしていたので、もちろん日本新を出したのはうれしかったですけどちょっと悔しいところもあります」

岸田選手には知的障害があり、先の見通しを立てることが苦手です。練習のメニューや1日の行動スケジュールを所属するチームのコーチに作ってもらい、それを一つずつこなしていきます。岸田選手は、ひとつのことに集中しすぎてしまうことがあるため、時にはタイマーを1時間ごとに鳴らして予定を確認するなど、工夫しながら自己管理に取り組んでいます。来月(3月)に迫った日本パラ陸上競技選手権大会でさらにタイムを0.4秒更新すれば、東京パラリンピック出場も見えてきます。

コーチとスケジュール確認をする岸田選手

現在、岸田選手は、千葉県松戸市に拠点を置く陸上クラブチーム「ダイバーシティA.C.千葉」に所属しています。5年前から指導するのは、大門寛子コーチです。これまで100人以上を指導してきた中で、岸田選手が競技にひたむきに取り組む姿勢には特別なものを感じるといいます。

大門コーチ:「全身全霊で戦えるという感じです」

岸田選手の今の課題はレース前半200mのタイムを縮めることです。そのために、これまで週に1度だったウエイトトレーニングを週2度に増やして瞬発力を高めようとしています。厳しく苦しいトレーニングにも全力で取り組む岸田選手。

エアロバイクをこぐ岸田選手

岸田選手:「週2回に増やしたことで、体はきついですけど筋力アップは大切だと思っています」

さらにトラックでの練習では、加速力を強化するためにレースの前半部分を繰り返し走ります。しかし、この日の練習では自分を追い込むあまり、練習の途中で足がつってしまいました。すかさず大門コーチが駆け寄り、足の状態を確認します。マッサージを受けたあと、自ら進んで走ろうとする岸田選手に大門コーチが力の加減をアドバイスしながら練習を続けました。途中で練習をやめない姿勢が岸田選手の強みです。

足がつった岸田選手とチェックするコーチ

大門コーチ:「全力を出せと言われても普通は出せない選手が多いけれど、日ごろの練習から全力を出している。そういう選手には、いまのところ岸田選手しか出会っていないです」

東京パラリンピックの開催まであと半年をきり、“全身全霊”で東京パラリンピック出場を目指します。

走る岸田選手

岸田選手:「東京パラリンピックに出たら常にその試合は全力で頑張るだけです」

岸田選手は来月(3月)に東京で行われる日本パラ陸上競技選手権大会での記録更新を目指して、今月中旬から3週間の強化合宿に臨むということです。


※この記事は以下の番組から作成しています。
2021年2月10日「おはよう日本
内容は放送時のものとなります。


この記事を書いた人
菅原 紀子 カメラマン

菅原紀子 カメラマン


平成25年入局
大阪・神戸を経て現在、報道局映像センターに所属。

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