「真の」世界王者になるために|佐藤友祈  ―ごとうゆうき・パラ陸上取材記―

陸上 2020年1月9日
写真:佐藤友祈選手

みなさま、あけましておめでとうございます🎍

いよいよ2020年、オリンピック・パラリンピックイヤーの幕開けです。
選手の皆さんがどんな思いで、どれだけの努力を積み重ねてきたかを取材させていただいてきたので、早くも緊張してきました…!

では、新春企画「ことしにかける~後藤佑季ver.~」(勝手に命名しました)を何本か続けてお届けします!
・・・

2019年11月、ドバイで開かれたパラ陸上世界選手権。
ここで、日本人で唯一2種目金メダルを成し遂げたのが、T52(車いす)の佐藤友祈(さとう・ともき)選手です。

写真:日本の旗を広げる佐藤選手

2020年を目前にした2019年は、どんな1年だったのか。
年末に沖縄で行われた合宿にお邪魔して、お話を伺ってきました。


■2019年は、“持ちこたえた“年


偉業を成し遂げたこの1年、佐藤選手にとってはどんな年だったのでしょう?
「とにかくこの1年は、世界選手権で内定をとるために、追い込んできた1年でした。一言で言うなら…そうですね、持ちこたえた、そんな1年だったと思います」

写真:トラックを駆け抜ける佐藤選手

トラックを駆け抜ける佐藤選手。疾走感が伝わりますか!?

「僕はことし結婚したんですけど、こんな大切な時に結婚式をするのか、と言われる事も多かったんです。でもだからこそ、結果で見せつけたと言うか、納得してもらったと言うか」

写真:笑顔の佐藤選手

左手の薬指には、結婚指輪が光る

佐藤選手にとっては、この1年は世界選手権と結婚という2大イベントに染められていたのです。


■悲願達成のためにー


佐藤選手がいつも話しているのが「パラリンピックのタイトルをとっていない自分は、世界記録保持者であろうと、世界選手権で2種目2連覇を果たそうと、“真の”世界王者とは言えないんです」ということ。

パラリンピックのタイトルをとってこそ、世界チャンピオンになれるのだと話す佐藤選手が、世界選手権を終えてから、変えたことがあると言うのです。


それは、レーサーの車輪の角度。
垂直から12度傾けていた車輪をより鋭角に、11度にしたのです。その違いは「1度」!

そうすることによって脇がしまり、後半に伸びるタイプである佐藤選手にとってはより省エネでいけるのではという試みでした。
「今までのレーサーよりは、脇がしまる分、力がよりダイレクトに伝わるような気がします」と話していました。

写真:レーサーに乗る佐藤選手の後ろ姿


求められるのは、レーサーとより“一体”となること。

モノとの一体化は、パラ陸上ならではの難しさが伴います。
義足の選手は、義足のことを「体の一部分」と表現する選手が多いのですが、佐藤選手にとって、レーサーはどんなモノなのかお聞きしてみました。

すると、「翼です!」と、すぐに返ってきました。

「日常用の車いすだと、どうしても限界があるんですけど、このレーサーとなら、どこへでも行けるし、速く走る事もできます。レーサーがあったから、海外(遠征)にもこうして行けるようになったんです。レーサーがなかったら、僕は海外になんて行っていなかったと思います。だから、僕をどこへでも連れて行ってくれるなんです」

相棒、とか、体の一部、と表現する選手もいる中、“翼”と答えた佐藤選手。
その言葉が、佐藤選手にレーサーがもたらした、たくさんの「影響」を物語っているように感じました。

写真:夜のトラックを走る佐藤選手

仲間と共に、夜の沖縄を駆け抜ける

いよいよ2020年は勝負の年。
「2020年は、ゾーンに入るような“無”の1年になるように頑張ります!」

以前は過去の大会でメダルを争ったレイモンド・マーティン選手がライバルだと話していた佐藤選手ですが、これからは「自分自身」がライバルだと話す佐藤選手が、さらにレーサーと一体となった時、どんな走りを見せるのかー。

写真:笑顔の佐藤選手

沖縄県豊見城総合公園のトラックをバックに、お話を聞かせてくれました

さらに新たな「家族」ができた佐藤選手は、その応援を胸に、車いすレーサーという翼で、より一層飛躍を遂げるのではないでしょうか。

今からワクワクしてきました!


新春企画「ことしにかける~後藤佑季ver.~」
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後藤佑季

後藤佑季(ごとう・ゆうき)

1996年7月30日生まれ 岐阜県出身 聴覚障害(人工内耳使用) 【趣味・特技】料理、カメラ、書道準五段、手話技能検定準2級 【スポーツ歴】陸上(100m走など短距離)、水泳、バドミントン 【抱負】私の聴覚障害(難聴)のような『目に見えない障害』の存在を伝え、様々な障害のある人とない人との橋渡し役になれたらと思っています。自分の身体ではないものを最大限に生かし、自らの可能性を広げる、超人たちの「常識を超える瞬間」を多くの方にお伝えしていきたいです!

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