“障害”について考えてみた―三上大進と7本の指

2020年3月31日
写真:カップを手に持つ三上リポーター

「大進くんってどこに障害があるの?」
「あ、手が!怪我をしたのかな…」


私の“障害”について、沢山の質問をいただきます。
言葉にするには少し根性と時間が必要だったのですが、今回はそれをお伝えしようと思います。

具体的にはこちらの3点です!


❶これが私の「障害」です
❷三上大進の”肩書き”
❸左手がくれた2つのもの



読んだら人生が変わるような壮大な中身では一切ないのですが、ぷぷぷっ!と楽しんでいただけたら幸いです。

それでは、はじめましょう~!

目次
#1 これって「障害」ですか?
■「障害」が遠かった子どもの頃
■人と違うのが「障害」?


#2 NHKで”直談判”したハナシ
■NHKで障害名を知った
■その肩書き、異議アリ!


#3 左手がくれた2つもの
■失敗と仲良く付き合う
■個性という宝物に出会えた

#1 これって「障害」ですか?

■「障害」が遠かった子どもの頃

生まれたときから、左手の指が2本です。
左手そのものが三日月のような形をしていて、子どもの頃は(今も大好きな)セーラームーンの武器「ムーンスティック*」に似ている!と自称していました。
*敵の邪悪なエナジーを浄化する三日月形の武器

銀水晶のエナジーを宿している…
と思うたび、ドキドキしたのを覚えています。

写真:右指が5本、左指が2本の三上リポーターの手

その頃は2本の指がくっついており、左手では物を持てませんでした。
10才のときに「指を切離し移植する」という当時世界初の手術をうけ、いまの状態になったのです。

自由に動く2本指を得てからは、鉄棒やタイピングも得意に!
当時は自分を“障害者”と思ったことは一度もありませんでした。

少なくとも、その単語を自分とは程遠いものに思っていたのです。

写真:三上リポーター
できなかったのは、“あやとり”。
それでも友達が片手を貸してくれて、2人で1つの「東京タワー」を作って遊んでいました。
驚くべき、子どもの発想力と心の柔軟性。



■人と違うのが「障害」?


大人になっていくにつれ、中々そうも言ってはいられなくなります。
左手を理由に、何かを諦めざるをえない場面が出てきたのです。

大学でサークルへの加入を断られたり、初の職場では(配慮の上)接客研修を免除されたり。

起きたことよりも「自分には障害がある」と感じるようになったことへ、何とも言えない切なさを、そしてコンプレックスを抱くようになりました。

ですが何度考えても、この手は誰かの障りになったり、害を与えるものとは思えません。
ただ自分が思うよりも社会は”違い”に敏感なのかもしれない。

「“違い”で何かを判断されないように、
私らしい強みや輝きを沢山見つけよう」


そう意気込み、障害に左右されない日々を目指していました。

#2 NHKで直談判したハナシ

■NHKで障害名を知った

そんな日々が変わり始めたのは、NHKでの活動がキッカケです。
リポーターを始める前に担当者から「障害名」を聞かれたことが始まりでした。

(ショウガイメイ…?ってなんだろう?)

名称なんてこれまで知る機会も無かった!と正直に打ち明けると「障害者手帳に書いてあるよ」と教えてもらいました。

早速調べてみると確かに明記されています。


(疾患による)左上肢機能障害


や!長いし、難しいし、オシャレじゃない!

知らずに生きて来たことを驚かれましたが、逆に言えばそれほどに「障害」に縛られていなかった!ということなのかも。

写真:三上リポーター
左手について私以上に”無頓着”でいてくれて、
そして何かあったら私以上に怒ってくれた、周りのみんなに「ありがとう!」。

写真:三上リポーター




■その肩書き、異議あり!

そしてNHKで直談判したことがあります。

公募の時に使われていた”障害者キャスター・リポーター”という言葉。
正直その時は「変わった呼び方だなぁ…」程度にしか思っていませんでした。

しかし、いざ自分の名前が並んだ資料を見たとき、その感情は強い違和感に変わります。


障害者リポーター三上大進 (左上肢機能障害)


見慣れない文字の組み合わせに戸惑い、
なぜ障害を強調するの…?」という気持ちが膨らむばかり。

どうにかならないかと上司に相談すると、
障害は三上さんの大切な個性なので、この名称を使いたい』という説明を受けました。

しかし、障害を個性と思っていなかった私は納得できず、何度も話し合いの場を作って頂きました。
NHKに入って初めての”直談判”です。

☑肩書に感じた「矛盾」
障害の
有無に関わらず、自分らしく生きられる社会の実現に貢献することがNHKの使命の1つであるはず。
⇒しかしこの肩書は「
有・無」を強調し、私の存在はその二分化に加担してしまう恐れがある。

これは最近知ったことですが、実は部署内でも別の呼び名の検討を続けていたそう。
結果として私の願いは届き、 肩書から「障害者」という単語が一切消えたのです。

リポーター 三上大進」としての活動が始まった瞬間でした。

写真:三上リポーター
白状すると、どさくさに紛れ“プリティーリポーター”という肩書を提案しましたが、こちらは不採用に終わりました。
時は流れ、今では「NHKパラリンピック放送リポーター」として活動しています。

#3 左手がくれた2つのもの

■失敗と仲良く付き合う

右手の5本、左手の2本、計7本の指。結構器用に使いこなします。
なかでも驚かれるのはこの辺りです。


☑パソコンの速打ち
自己流ですが、普通の人より速く打てます。
☑ネイルケアの塗布

2本指でハケを挟み、右手の爪もキレイに!
☑くつ紐を結ぶ

“可愛いリボン結び”作りには、定評あり。


写真:靴ひもを結ぶ三上リポーター

不便だなと思うことも勿論ありますが、この身体は私に「トライ&エラー」をする機会を沢山くれました。

あれこれ試して、何度も失敗して。
めげずに改善して、また失敗して。


そんな繰り返しの先に、些細で小さなことでも「人より得意なこと」が出来たことは、今日の私に大きな影響を与えています。


■個性という宝物に出会えた

障害は個性、という言葉をよく耳にします。
素敵な考え方だと思いますが、障害のある人すべてがそう思っているとは限りません。

実際、私は障害を個性と思ったことは一度もありません。
しかし、この左手のおかげで、自分の色々な個性と出会うことができました。

写真:三上リポーター
左手をコンプレックスに思い始めた頃、その劣等感からか「美容」に目覚めます。
何と気の毒なきっかけ…と思うかもしれませんが、結果オーライ!♡

新卒で美容業界に進み、製品企画や開発を担当して、今やテレビで美容コーナーのリポーターもしているなんて。

今までも、これからも、美容が大好き!自分でも最高の個性に巡り会えたと思います。


他にも、右より短い左手をカバーすべく「バランスの良い着こなし」を研究するなかで (小さい頃からこだわっていた)、思いがけずファッションが大好きになりました。

「障害」で失ったものよりも、この左手に与えてもらったことの方が、私にはずっと大きな意味を持ちます。



■最後に

改めて思うのが、「障害って、チガイって、何だろう?」ということです。

社会から見たら、たしかに私は「障害者」と区分されます。
他にも、目に見えない様々なカテゴリーや呼び名がこの世にはありますが、大切なのは「自分が自らをどう捉えるか」だと思います。

これからもきっと、私の肩書にその三文字・・・は入りません。
そう信じさせてくれるこれまでの経験や、周りのすべての人、そしてこの身体に感謝の気持ちが溢れます。

みなさんが自分や誰かの新しい「チガイ」に出会ったときに、この記事が何かの役に立ったら良いな。

そんな思いに心を込めて、書きました。

お読みいただきありがとうございました!

三上リポーターの最新記事はこちらから

キーワード

三上大進
三上大進

三上大進(みかみ・だいしん)

1990年10月20日生まれ 東京都出身 左上肢機能障害 【資格】日本化粧品検定1級、コスメコンシェルジュ、TOEIC900点 【趣味】ショッピング、映画鑑賞、スキンケア 【スポーツ歴】スキューバダイビング、テニス 【メッセージ】パラスポーツを観たことはありますか?個性豊かな選手たち、向き合う障害、想像を超える競技…。知るほどに心が震える瞬間を1人でも多くの方に体験して頂けるように、ときめく熱いリポートをお届けします!

おすすめの記事