それは、切手のないおくりもの – 三上大進

競泳 2021年9月28日
写真:三上大進リポーター

東京パラリンピックが閉幕して、
気づけば街は、もう秋の色。
(その先に控えるクリスマスのことは一旦無視)

毎分、毎秒、息をのむ瞬間で溢れ、
そして心が動かされ続ける13日間でした。

🖊 初めてパラリンピックを観た!
🖊 こんなに興奮するとは!
🖊 大進くん推しのイケメン選手にハマった←


パラリンピック放送を通して、
そんな沢山のお便りを頂きました。


きっと視聴者のみなさんの多くが、
初めてパラリンピックを観るのかも・・・
と思っていたので、

「難しさよりも、楽しさを」
「障害よりも、残されたものを」
「ちがいよりも、カッコよさを」


どれか1つでもいい!
誰かの胸に届きますようにと、
愛と情熱を込めてリポートしていました。

写真:番組出演中の三上リポーター



いまも数えきれない場面が頭をよぎりますが、特に印象深かったエピソードを1つ紹介させてください。

パラ競泳・知的障害クラスの東海林大選手が、
予選後に話した言葉です。


「メダルや順位よりも、挑み続けることが、
(パラリンピックの)真の価値。
応援していただいている方々に感謝しながら、
決勝でも、前に前に進んでいきたい。」


写真:平泳ぎをする東海林選手



その日、東海林選手は200メートル個人メドレーに出場しました。
自身が世界記録を持つ、本命のレースです。

東海林選手は「期待や応援を重圧に感じやすい」という障害特性から、思うような泳ぎができないときがあります。

世界記録保持者である自分に、
すべてのライバルたちが挑んでくる恐怖。

そして重なるように押し寄せる、
純粋な声援 ―― 「金メダルを取って」。


(どれほどの重圧を背負って、
いま彼はここに立っているのだろう)



そんな思いが胸を駆けめぐりながら、
同じ会場で祈るように見守った決勝。


結果は4位―
今シーズンのベストタイムでした。


ゴール直後。肩で息をしながら、
その表情は、清々しく、凛々しく。


曇りのない瞳とまっすぐな声に、
東海林選手が見つけた「真の価値」の意味を強く感じました。


どんな逆境でも、立ち向かう勇気をもって出場することを。
自分の中で悔いなく泳げたことが1番と思います。

ここまで苦しい、つらいことでも負けなかったから、
こうやって、このあともそうですが、
これからも、胸を張って生きていけそうです。


写真:サムズアップをする東海林選手



東京パラリンピックが、私たちに残したものは何でしょう?

この記事を書き始めてからずっと、
これまで取材してきた選手たちが幾度となく頭をよぎります。

競技も障害も、顔も性格も、
誰一人として同じ人はいませんが、
実は彼らから教えてもらった、共通する”1つのこと”があります。


「自分の心を動かした人だけが、
     誰かの心を動かすことができる」



心を動かされる瞬間や理由に、
障害の有無は関係ないのだということ。

自分の心が向かうものに、
自分らしく向き合えばいいのだということ。

これが、私が多くの選手たちから受け取った
“切手のないおくりもの”です。


・・・


「東京パラリンピックが、私たちに残したものは何でしょう?」と書きました。

観た人の数だけ、受け取った内容の数だけ、
その答えはあると思います。

私も多くの見えないメッセージを受け取りました。
そして今もずっとその意味を考え続けています。

その”おくりもの”をどう残していくか、
どう伝えていけば良いのか。

これからの先の日々で私らしく、
考え続けていきたいと思うのです。


・・・


3年7か月―
これまで私の記事やリポートに
お付き合いくださったあなたへ。

伝えきれないほどの感謝と、
そして大好きという気持ちが、
きっと心に届きますように。


今まで本当にありがとうございました!
そしてまたいつか、お会いできる日まで。

NHKパラリンピック放送リポーター
三上大進


P.S.
最後の最後まで、ついに恋に関するリポートはできませんでした。
次なる旅では、必ずや・・・!

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三上大進
三上大進

三上大進(みかみ・だいしん)

1990年10月20日生まれ 東京都出身 左上肢機能障がい 【資格】日本化粧品検定1級、コスメコンシェルジュ、TOEIC900点 【趣味】ショッピング、映画鑑賞、スキンケア 【スポーツ歴】スキューバダイビング、テニス 【メッセージ】パラスポーツを観たことはありますか?個性豊かな選手たち、向き合う障がい、想像を超える競技…。知るほどに心が震える瞬間を1人でも多くの方に体験して頂けるように、ときめく熱いリポートをお届けします!

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