知ってる?聴覚障害 【前編】人工内耳で聴く、ということ -後藤佑季

2018年11月9日
写真:人工内耳を付けている様子

皆さんこんにちは!後藤佑季です。

リポーターになって1年が経ちました。この機会に、私の障害と、私の耳となってくれている人工内耳について、2回に分けてご紹介しようと思います

まずは前編、「人工内耳」について。
「目に見えない」障害である聴覚障害ですが、この記事をきっかけに少しでも知ってもらえたらなと思います…!

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私は生まれた時から両耳に聴覚障害があります。

今は左耳に「人工内耳」をつけていて、片耳で音を聞き、普通に会話しながら生活をしています。

髪をアップにすると、人工内耳がよく見えます!

耳にかけている機械(図の赤丸)で音を拾って電気信号にします。その後、頭に磁石でくっついている(!)丸い送信コイル(青丸)を通して、皮膚の下に埋め込んである装置へ信号を送っています。

私の場合、人工内耳を外すとほとんど聞こえません。人工内耳を外した耳元で大きな声で叫んでもらっても、その「音」がかすかに聞こえるか聞こえないか、という程度です。
水にぬれると壊れるので、お風呂やプールに入るときは外します。なので、たとえば温泉に入って友達と語り合う、というようなことはできないのです。

この人工内耳、補聴器とよく見間違われますが、実際には全く違う仕組みのものなんです。

 

補聴器と人工内耳、似て非なるもの。
目が悪い人がメガネをかけるように、聴覚障害のある人がつけているのが補聴器人工内耳です。

補聴器…音を大きくしたり聞きやすい状態の「音」にして鼓膜に伝えるもの。少しでも聴力が残っている場合は、補聴器で音を大きくすることで残った聴力を最大限に生かします。中には、言葉の判別は難しいが、話しかけられていることはわかるので着けている、という人もいます。

人工内耳(下図参照)…音を電気信号に変えて聴神経に伝えるもの。手術によって耳の上の頭皮の中にコイルや磁石、内耳の蝸牛の中に電極を埋め込む。耳掛け式の体外装置のマイクで音を拾い「信号」に変換。送信コイルを通して体内に伝え、電極から聴神経を介して脳に送られ、「音」として認識しています。


人工内耳は、下の図のように、「音を信号に変え、聴神経に伝える」までを代わりに担ってくれています。

(画像提供:日本コクレア)

下の写真の装置を体内に埋め込んでいます。細く丸まっている部分が、蝸牛の中に埋め込まれている電極です。

(画像提供:日本コクレア)

私は、小さい頃はまだ聴力が残っていたので補聴器をつけていましたが、成長するにつれて聴力が落ちてきたので、小学校3年生の時に人工内耳装着手術を受けました。

この手術が日本で認可されたのは1985年、現在は世界でおよそ3700万人のユーザーがいるそう。私が手術を受けた頃は片耳だけに着けるのが主流だったようですが、今は両耳に、という場合が多いのだそうです。

初めて人工内耳をつけたときは、それまでの音とのあまりの違いに泣いて嫌がったそうです。
機械が音を電気信号に変えているので、どうしても機械的な音になってしまうようです。

でも、慣れるにしたがって「世界はこんなに音であふれていたんだな」と感じたことは覚えています。

聞いたことのない音ばかりで、最初のころは「この音は何の音?」「この音は?」と母に聞きまくっていました。そうして、人工内耳で聞こえる一つ一つの音と、それが何の音かという「認識」を結び付けていったのです。

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普段は人工内耳をつけて生活していて、おおよその音は聞こえます。でも、聞こえづらいことや困っていることもあります。

例えば…
・周りの音がするところだと、しゃべっている人の声と周りの音が混ざってしまい、何を言っているのかがわからない
→店内のBGMが影響する時もあり、私は可能な限り店員さんにお願いして音量を下げてもらっています。

音の方向が分からない(私の場合片耳で音を聞いているため)。
→呼ばれても、どこから呼ばれているかわからないので周りをぐるりと見渡して、呼ばれた方向を確認します。

・音源媒体(ex.テレビ、スピーカー、携帯電話など)を通した音が聞き取りづらい
→テレビに字幕は必須、携帯電話はイヤホンジャックから人工内耳に直接つなげばまだ聞き取れるようになります。でも、緊急時の放送や、電車の緊急停止の際の放送は何を言っているのかわからないため、起きていることを把握できない場合が多いです。

・大人数で話す場合は聞き取りづらい
→テレビのスタジオなどではマイクの音を直接人工内耳に送って聞き取っています。取材のときは指向性マイクのついたICレコーダーと人工内耳を直結する場合もあります。
しかし、それで100%聞こえるようになるわけではないので、なるべく同時に発言しないようにお願いしたり、どうしても聞き取れないときは聞き返したりしています。
また、収録や取材が始まる前に、相手の方に聴覚障害のことや「聞き返すかもしれない」ことをお伝えするようにしています。

2018年9月1・2日に行われた日本パラ陸上。小久保寛太選手(T20)に取材中の私。
手に持っているICレコーダーと人工内耳をコードで「直結」。

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そして、人工内耳のことでよくビックリされるのは「電池が切れる」ということ。

私の人工内耳は、充電式の電池を使います。その電池の消耗度は、実は「音のうるささ」に合わせて変わるのです。

パーティー会場のようなうるさい場所では、2時間ぐらいが限度です。電池が切れると「ぶつっ」と音のない世界に入ります。通常は1日に2~3回電池を変えています。

私にとっては当たり前なのですが「電池切れたから替えるね、今聞こえない!」というと、とても驚かれます。(笑)

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ただ、これらはあくまで私の場合。
聴覚障害、と一口に言っても人によって聞こえ方は様々です。
そこで、私の見解を含めて後編で少しずつお伝えしようと思います♪

知ってる?聴覚障害 【後編】外からは「見えない」障害 に続く


関連サイト:
NHKハートネット:テーマ別情報・窓口『聴覚障害』

画像:後藤リポーターのアイコン

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後藤佑季
後藤佑季

後藤佑季(ごとう・ゆうき)

1996年7月30日生まれ 岐阜県出身 聴覚障がい(人工内耳使用) 【趣味・特技】料理、カメラ、書道準五段、手話技能検定準2級 【スポーツ歴】陸上(100m走など短距離)、水泳、バドミントン 【抱負】私の聴覚障がい(難聴)のような『目に見えない障がい』の存在を伝え、様々な障がいのある人とない人との橋渡し役になれたらと思っています。自分の身体ではないものを最大限に生かし、自らの可能性を広げる、超人たちの「常識を超える瞬間」を多くの方にお伝えしていきたいです!

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