知ってる?聴覚障害 【後編】外からは「見えない」障害 -後藤佑季

2018年11月9日
 写真:手話でI Love You

皆さんこんにちは!
すっかり冷えてきましたね、リポーターの後藤佑季です。

前回に引き続き、私の障害と、普段私の耳となってくれている「人工内耳」についてご紹介しようと思います☆ 

今回は後編、「聴覚障害」そのものについて。
「目に見えない」障害である聴覚障害ですが、この記事をきっかけに少しでも知ってもらえたらなと思います…!

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「聴覚障害」?

私は生まれた時から両耳に聴覚障害があります。
私の場合は難聴ですが、一口に「聴覚障害」といってもいろいろな聞こえ方の人がいます。

そして、聴覚障害者とは大きく ろう者 と 難聴者 、そして 中途失聴者 に分かれます。
この区別に明確な基準はなく、アイデンティティとして本人が決めることが多いです。

私は、次のように理解しています。

ろう者…言語習得前に失聴した人。完全に聞こえない・ほとんど聞こえない・機器を使っても聞き取りが難しい・発話が難しい
→日本手話を第一言語としている人が多い

難聴者…ある程度は聞こえるが、健常者に比べると聞き取り能力が低い人。発話がある程度できる・機器を使うことで聞き取り能力が上がる
→口話で生活している人が多い

中途失聴者…言語習得後に何らかの理由で聞こえなくなった人。完全に失聴しても話すことができる人が多い。

 

私自身は、人工内耳の使用によってある程度の会話ができることから「難聴」だと思っています。(人工内耳を外すとほとんど聞こえません)

そして、難聴の種類としては、その障害の要因の場所によって大きく3つに分類されます。

(画像提供:日本コクレア)

伝音性難聴:外耳・中耳の障害によるもの。音が伝わりにくくなった状態。補聴器などで音を大きくすることで比較的聞こえるようになる。
感音性難聴:内耳・聴神経・脳の障害によるもの。音がゆがんで聞こえたり、響いたり、ぼやけて聞こえるなど、言葉としての明瞭さが低い。補聴器などで音を大きくして伝えるだけではうまく聞こえない。
混合性難聴:①と②の両方が混ざったもの。

 

そして、言語の取得や発話は、その障害が先天性後天性かよって大きく影響を受けます。

生まれたときから聞こえない・聞こえにくい場合、周りの声はもちろんのこと自分の声もわかりづらいため、「言葉」や「発音の仕方」を覚えるのが難しいことがあるのです。

ちなみに私は、聴覚障害者の中では発話(声に出して話すこと)がきれいだとよく言われます。それは、進行性の病気で、小さい頃は聴力がまだ残っていたので言語習得はできたからです。
でも、サ行ナ行は発音が難しく、母と毎日毎日練習していました。特に「つ」「す」は発音の違いが分からず、小学校に入るまで上手に発音できませんでした…
そして、母が「健常者の世界で生きていくとしても、ろう者の世界も知っておかないといけない」と考え、小学生の時に手話サークルへ通わせてくれていたので、手話も日常会話程度はできます。

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技術の進歩はすごい!

技術も進歩してきていて、私のつけているメーカーの人工内耳でいえば次のような変化がありました!

完全防水仕様:特別なカバーをつけると水に弱い人工内耳をつけたままプールやお風呂に入ることができるように!私はまだ試したことがないのですが、みんなと温泉やプールで会話してみたいです!

ワイヤレス対応:聴覚障害の人は、スピーカーなど音源媒体を通した音が聞き取りにくいことが多いです。音が広がって聞こえて、音の輪郭がぼやけてしまうからです。でも、イヤホンと同じように、コードでつないで直接、人工内耳に音を送ると、ある程度聞こえやすくなります。このコード、携帯電話の時などはいちいちつけなくてはならず、大変だったのですが、ワイヤレス対応の人工内耳が新しく開発されたんです! これで携帯電話に電話がかかってきても、コードをつなぐ手間がなくなるのですぐに出られるように…!

スマホと連携:専用のアプリをスマホにダウンロードすれば、人工内耳の電池の残量を確認できたり、背後のノイズをカットするモードに簡単に切り替えたりできるように!

このほかにも新しい機能はたくさん!
私の使っているものは「バージョン5」で、日本ではバージョン6が最新。バージョン7が2019年には発売されるそうです。
でも、機器の費用は高いので、なかなかすぐには買えません…
いつかは試してみたいなあと思います!

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でも、完璧に聞こえるわけではない

聴覚障害があっても、技術の進歩によって、一般の人と同じように生活できる人は増えています。

でも、だからといってすべて同じように聞こえているわけではありません。

一般の人は、脳が勝手に聞きたい音だけにフォーカスして聞きたくない音は抑えるという「自動ノイズキャンセリング」をしています。しかし、人工内耳の場合は機械が音を電気信号に変えるので、すべてが平等に同じ大きさで聞こえてしまいます。そのため、うるさいところでは音としては聞こえても何を言っているのかわからなくなります。

そんな音を補完するために、聴覚障害の人にとって視覚情報がとても重要です。たとえば、唇の動きや表情を読みながら話を聞いているのです。そのため、横を向きながら話されたり、マスクをしていると、言っていることがよく分からないことがしばしばあります…。

また、駅や電車内の放送は、スピーカーなど音源媒体を通した音の中でも特に「広がって」しまって聞きとれず、緊急時などは何が起こっているのか把握できないことが多いです。

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聴覚障害は「目に見えない障害」
そのため、誤解されたり、なかなか理解されないことがしょっちゅう・・・。

街でもし補聴器や人工内耳をつけている人が困っているところを見かけても、「どうしたらいいのかわからない」「声をかけても、声が聞こえないのなら助けてあげられない」という声が聞かれます。

でも、筆談やスマホの文字入力など、方法はたくさんあるんです!

少しでも多くの人に、聴覚障害の存在を理解してもらえると嬉しいです♪

 私が表しているのは、手話でI Love Youという意味です。ぜひ皆さんも使ってみてくださいね

関連記事:知ってる?聴覚障害 【前編】人工内耳で聴く、ということ



関連サイト:NHKハートネット テーマ別情報・窓口『聴覚障害』

画像:後藤リポーターのアイコン

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後藤佑季
後藤佑季

後藤佑季(ごとう・ゆうき)

1996年7月30日生まれ 岐阜県出身 聴覚障がい(人工内耳使用) 【趣味・特技】料理、カメラ、書道準五段、手話技能検定準2級 【スポーツ歴】陸上(100m走など短距離)、水泳、バドミントン 【抱負】私の聴覚障がい(難聴)のような『目に見えない障がい』の存在を伝え、様々な障がいのある人とない人との橋渡し役になれたらと思っています。自分の身体ではないものを最大限に生かし、自らの可能性を広げる、超人たちの「常識を超える瞬間」を多くの方にお伝えしていきたいです!

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