陸上 167人の金メダリストが誕生!ライバルと自分の限界へ挑む

— 競技ガイド —

陸上

8月27日(金)~9月5日(日)
国立競技場

パラリンピックのなかでもっとも多い167種目が実施される陸上。勝敗や記録への挑戦以外にも、さまざまな楽しみ方と見どころがある。たとえば異なる障がいのある男女4人がリレーする「ユニバーサルリレー」やフィールド種目の「こん棒投げ」などはパラリンピックでのみ実施される種目。また、選手の身体能力や技術の向上とともに、進化する義足や「レーサー」と呼ばれる競技用車いすなど、用具の進化も著しく、それらの使いこなしも記録更新や勝利には欠かせない。そして選手とともに走る「ガイドランナー」や、踏み切りのタイミングなどを伝える「コーラー」との息のあったコンビネーションもパラリンピックならでは。個々の特性を生かして「より速く より高く より遠くへ」と挑むアスリートの姿を目に焼きつけよう。

【陸上クラス分け】

【陸上のクラス分け】
選手と用具の著しい進化で100分の1秒でも早く! トラック

パラリンピックの花形競技のひとつトラックは、障がいの種類や程度に応じて種目が細かくクラス分けされている。たとえば100mだけでも男女あわせて29人の金メダリストが誕生する。多くの選手たちが栄冠に輝き、歓喜のパフォーマンスを見られるのがトラックの魅力だ。選手の障がいを補う用具の進化も目覚ましく、カーボン製の義足や競技用車いすの「レーサー」などは、競技でしか見られない。また、それぞれ異なる障がいのある男女2人ずつの計4人がチームを組んで挑むユニバーサルリレーは、多様性の時代にふさわしい、東京大会から正式種目として採用される注目の種目。真新しい国立競技場で100分の1秒を争い、疾走する選手たちの姿を目に焼きつけよう。

トラックの見どころ 目覚ましい用具の進化!

・競技用車いすの最高時速は30キロ!
・パラリンピックの象徴!ユニバーサルリレー

見慣れない3輪タイプの競技用車いす「レーサー」に乗って風を切り、最高時速30キロにも達する車いすのクラスの選手。選手の目となる「ガイドランナー」との2人で息をあわせ、ゴールを目指す視覚に障がいのある選手。義手や義足を使い、自己最速を目指す選手など、選手の障がいの種類や程度に応じて細かくクラス分けされ、見どころが多いトラック。用具は細かくカスタマイズされており、選手には使いこなす技術が求められる。

ユニバーサルリレー

数あるトラック種目のなかでも注目は、今大会から正式種目として採用される400mユニバーサルリレー。さまざまな障がいのある男女2人ずつ、計4人の選手がリレーする種目で、第1走者は目に障がいのある選手を起用する。オリンピックのリレーとは異なり、バトンではなく選手に触れる“タッチ”で次の走者につなぐ。4人の速さが大きく異なるので、スピードを落とさずにリレーするのは難しいが、異なる障がいと性別の4人が参加するリレーは、パラリンピックの象徴とも言える種目で必見だ。

マメ知識

視覚障がい、立位の切断・機能障がい、脳性まひ、車いすの順番で、男女2人ずつ、計4人で走る400mユニバーサルリレー。バトンを扱えない選手もいるため、走者の体に“タッチ”することでリレーする。

1センチでも高く、遠くへ!自身の限界に挑戦する フィールド

フィールド競技では「跳躍」と「投てき」が行われる。跳躍は「走り幅跳び」と「走り高跳び」、投てきは「円盤投げ」「やり投げ」「砲丸投げ」と、パラリンピック独自の種目「こん棒投げ」で、基本的なルールはオリンピックと同じ。いずれの種目でも選手たちは1センチでも高く、1センチでも遠くを目指す。種目は細かくクラス分けされている。競技には障がいをサポートする工夫もある。たとえば目に障がいのある選手には「コーラー」と呼ばれる補助者がつき、手拍子や声で選手に情報を伝達。走り幅跳びや走り高跳びの踏み切る位置や、投てきの投げる方向をサポートする。

フィールドの見どころ どこまで記録が伸びる!? コーラーとのコンビネーションに注目

・音を頼りに大ジャンプ!静寂と大歓声のコントラスト
・選手の個性が光る「こん棒投げ」

パラリンピックのフィールド競技には、会場が静寂に包まれる種目がある。目に障がいのある選手が出場するクラスだ。“コーラー”が手拍子や声で選手に情報を伝えるので、試技が始まると音を立ててはいけない。走り幅跳びや走り高跳びの選手はコーラーの音や手拍子を頼りに助走し、踏み切ったり、ジャンプしたりする。こうしたコーラーとのコンビネーションやコミュニケーション方法の違いも面白い。

パラリンピック独自の種目「こん棒投げ」

投てき種目では、オリンピックにはない「こん棒投げ」に注目だ。投げるのはボウリングのピンに似た形の棒で、握力がなくても競技に参加できる。ルールはやり投げと同じだが投げ方は自由。振り子のように下から投げたり、後ろ向きで頭越しに投げたり、それぞれの選手が編み出したオリジナルの投法を披露する。1センチでも遠くに投げるため、体の機能を最大限に生かした工夫は見逃せない。

マメ知識 こん棒投げ

パラリンピックでのみ実施される「こん棒投げ」。投げるのは長さ40センチ、重さ397グラムのこん棒で、投げ方は自由、ルールはやり投げと同じで、握力がなくても投てき能力を発揮できる。試技の際は投てき台に座り、脚やお尻が浮かないように、ベルトで体を固定して投げる。

都心の42.195キロを走り抜く!アップダウンの攻略がカギ マラソン

国立競技場をスタートし、日本橋や浅草雷門、東京タワー、皇居など都内の名所を巡って競技場に戻るコースで、スタートは午前6時30分。障がいに応じて3つのクラスがあり、目に障がいのあるT12クラス、腕に障がいのあるT46クラス、そして車いすで参加するT54クラスに分かれている。それぞれ用具やガイドランナーのサポートのもと、アップダウンやコーナーの多い42.195キロは完走するのも容易ではなく、競技は過酷そのものだ。

マラソンの見どころ ガイドランナーと走る

・選手とガイドランナーの“きずな”
・世界記録は1時間20分!スピード感あふれる車いすクラス

目に障がいのあるT12クラスのレースは、選手と「ガイドランナー」の“きずな”が見どころ。選手の目となるガイドランナーは、50センチ以内のひもを選手と一緒に握り、ゴールまで走り抜く。レース中は声でもコミュニケーションをとり続け、路面状況やコースの位置取り、ラップタイムなどを選手に伝える。選手の能力をフルに引き出すガイドランナーの役割は重要で、息の合った2人の走りはオリンピックのマラソンとはまた異なる感動を呼ぶ。

競技用車いす「レーサー」

腕だけの力で42.195キロを走る車いすのT54クラスはスピードが魅力だ。選手が乗るのは日常生活で使用する車いすとは異なる「レーサー」と呼ばれる競技用車いす。その名の通りスピードに特化した構造で、空気抵抗を減らし、片手で持てるほどの軽量化を実現。下りでは時速50キロを超えることもあり、男子の世界記録はなんと1時間20分!スピード感あふれるハイレベルな走りを期待したい。

マメ知識 ひもを握って走る

マラソンの目に障がいがあるクラスでは、選手とガイドランナーは長さ50センチ以内のひもを一緒に握って走る。素材に規定はないが、意志を伝える重要なアイテムなので、使いやすい物を選手が用意する。3位以内に入った際は、選手とともにガイドランナーにもメダルが贈られる。

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